時事随筆

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【加計学園問題】って何?と言う人が忘れないでほしい、たった一つの疑問

殆どの人は、興味もなくなっているであろう加計学園問題ですが、既に多くの記事が出ています。それぞれを追うのは時間も興味もない人の為に、一つだけ【問題の核心から論点をずらされない】為に持っておいてほしい疑問があります。

加計学園問題、官邸と文科省で猛烈な「犯人探し」…「総理の意向」の真相とリーク元 | ビジネスジャーナル
教育無償化と加計学園問題をつなぐもの - 山猫日記
加計学園問題の本質は何か 〜このままでは政府の勝ちで終わるだろう(髙橋 洋一) | 現代ビジネス | 講談社(1/4)
加計学園問題は嘘だらけ~原因はマスコミと野党と文科省 - Meltな気分で


それは、
- 何故?誰が?52年ぶりに獣医学部が新設される事を、問題にしているの?
という事です。これが明らかになる事で戦略特区を問題視している人々の利害関係、他の獣医を望んだ地域では設立を阻まれ、加計学園一校のみが残った理由、中心人物、が明らかになるものとおもいます。
加計学園問題 戸惑いの声「自分が批判されたよう」 国家戦略特区諮問会議・出席者 (産経新聞) - Yahoo!ニュース


獣医学部を必要とする理由は、獣医が不足しているという事です。これには、幾つかの側面があります。

  • 公務員獣医が足りない
  • 都会に偏在している

獣医は足らないのか?

民主党政権下で起きた、宮崎口蹄疫事件は記憶に新しいのではないかと思います。赤松農水相の初動が遅れた事で、終息宣言まで4か月を要した大きな事件でした。宮崎牛が壊滅すると言う所まで追い込まれた事を覚えている方も多いのではないでしょうか。
asahi.com(朝日新聞社):公務員獣医師が足りない 家畜よりペット、学生流れる - 口蹄疫の猛威

朝日新聞の報道では

自治体職員として家畜の防疫対策や食肉の衛生検査を担う公務員獣医師の不足が各地で深刻化している。ペットなど小動物の獣医師を目指す学生が増えたためだ。
(~中略~)
朝日新聞の調べでは、獣医師の定員を定める20都道県のうち12の道県で定員割れとなっていた。北海道で51人不足し、岐阜県で18人、鹿児島県で10人、新潟県で7人足りない。薬剤師や臨床検査技師が獣医師の仕事の一部を肩代わりしている県も複数ある。

という事です。明確な都道府県の獣医不足です。

朝日新聞GLOBE|獣医師たちのたたかい -- 家畜をまもる

県畜産・口蹄疫復興対策局の宮本篤は「人手が足りなかった」という。全国有数の畜産県ながら、農家の防疫対策を担う家畜保健衛生所の獣医師は48人で、1人あたりの家畜数は全国最多。だが県は当初、県職員だけで殺処分などに対応しようとし、地元の民間獣医師を十分活用できなかった。

定員だけで足りないものが、一人当たりの家畜数となると、更に辛くなる。これでは日ごろの対策だけでなく、緊急事態への対応も至難でしょう。畜産医が足りないという事に納得できます。

獣医はどこにいるの?何をしてるの?

農林水産省の獣医の届け出情報を見てみましょう。
獣医師の届出状況(獣医師数):農林水産省
http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/zyui/pdf/juuishi_todokede_14.pdf

届け出者の総数【39,098】にし対し、個人診療施設(民間の小動物医)には【17,241】、国家公務員に【518】、都道府県職員に【7,121】、市町村職員に【1,887】と民間に偏在しています。まさに朝日新聞の報道通りでしょう。政治が絡まない時は、まともなんですけどね・・・まぁ、これは置いときます。

地方で見ると最悪に酷い。獣医の総数で見ても、最小の福井県【163】にたいして、最大の東京は【4027】です。この劇的な差も驚愕ですが、地方職員数を見ると、更に衝撃があります。細かい数字はPDFを参照して頂くとして、各県で定員割れを起こしてるのも納得できる偏在っぷりです。

獣医の就職傾向

日本獣医生命科学大学の資料によると、全74名の卒業者のうち公務員となったのは僅か8名です。卒業後に地元に帰る様な人以外は、稼げるペット医師を目指す人が多いのでしょう。
就職支援について 就職統計データ(獣医学科) | 日本獣医生命科学大学

地方には絶望的に獣医が足りない

という事が、これまでに列挙してみたデータで明らかになったと思います。だからこそ、地方に獣医学部が必要だという事になるのだろうと思います。

【加計学園問題】「しっかり止める」 獣医師連盟から献金の民進・玉木雄一郎幹事長代理、獣医師会総会で獣医学部新設阻止を“約束”(1/2ページ) - 産経ニュース

今治市は「地域偏在の解消」などを掲げて獣医学部の招致運動を展開。それに呼応する形で、加計学園愛媛県今治市岡山理科大学獣医学部を新設する計画を進めてきた。

今治の動きはまさにこれだったわけですね。

「大学獣医学部の誘致に関する意識調査結果について」 http://www.city.imabari.ehime.jp/kikaku/kokkasenryaku_tokku/siryo02.pdf
今治新都市開発 - Wikipedia
今治市にとっては、遥か昔から計画してやってきた悲願であることが良くわかると思います。


ですが、地方に大学がある事によるメリットとはなんでしょう?

下記は医師の就職動態ですけれど、医師に限らず研究系や大学との結びつきの強い専門職は似た様な動態になるだろうと思うので、参考にしてみます。
意外と知られていない?医師の転職市場の規模・実態とは? | 医師転職研究所

最も多いのは、「大学(医局等)への依頼」となっており、全病院の75.1%において主要な採用方法として利用されていることがわかります。

獣医が欲しいとなった時に地方に大学が存在していれば、そことの結びつきの強い医師が、かつて指導教官だった教授に依頼するという事は、医師に限る事無く(私の所属する業界でも)ある話です。専門性が強い程、元指導教官への依頼は多くなりがちなのではないかと思います。


これほど足りない事が、少なくとも宮崎口蹄疫事件のあった民主党政権下でも分かっていたのに、何故?獣医学部は52年もの間に渡って新設される事がなかったのでしょうか?

政治家は52年間、指をくわえてみていたのか?

【加計学園問題】追及側の民進党、玉木雄一郎氏、獣医師連盟から100万円献金 「規制改革の邪魔しているだけじゃ」ネットの声 民進議員が「獣医学部新設」を国会で陳情の過去も(1/7ページ) - 産経ニュース
この記事の2P目から、民主党の高井議員が、国会にて大臣に陳情をおこなう様子が記述されています。

愛媛県今治市にですね。獣医学部が特区のメニューの中に入ったということで、実はこれはですね、新聞記事を持って参りましたけど、10年来の悲願だと、私は民主党政権のときにも国会議員をやっていましたけど、そのときからですね、ずっとこの問題、取り組んできたんですけども、実は獣医学部ってのは半世紀、新設されていないんですね。

と高井議員が言っておられるように、民主党の政治家にも「これはまずい」という理解が既にあったし、更には

獣医学部について申し上げれば、私も若いころに鳥取大学獣医学部を作りませんか、という話をずいぶんとやって、うまくいかなかったという経験もございます

と石破議員が答えた様に、遥か以前から取り組まれてきた問題だったという事が言えるでしょう。

なぜ?戦略特区が出来るまで、誰も獣医学部の新設を出来なかったのでしょうか?

これこそが、絶対に明らかにすべきものでしょう。




以下は私の所感です。(最初に参照した幾つかの記事を読むと、皆さん似た様な所感をお持ちのようですが)





石破茂・地方創生担当相は次のように言います。

各省庁の、省庁っていうよりも、その後ろにいろんな利害関係がございますのでね。それをその、だからこそ特区でやってみようよ、というのは私どもの責務

その後ろとは何か?? まぁ言うまでもない、獣医師会でしょう。

記事では

蔵内勇夫会長名での「会長短信」は、国家戦略特区諮問会議で、獣医学部の新設・定員増を認めないとする従来の大学設置認可基準を緩和するとした政府方針に激しく反発

獣医学部の新設をやめるか、これが不可能な場合でもせめて1校にするよう政治家に働きかけたとしている。

とあり、加計学園一校に絞られた原因の一端を、獣医師会自らが明らかにしています。これについては更に、民進党の玉木議員も次のような発言を行っています。

私は今一番心配しているのは,この特区の話でありまして,特区の問題は四国の,実は問題でもありまして,私は香川県の出身でありますので,この特区問題については従来より心配をしておりましたが,斉藤先生もライオンの乳を飲むがごとくとおっしゃったので,大丈夫かなと思いますが,このような教育の分野,あるいは医療の分野は,そもそも特区として,地域の例外を作り,進めるべき話ではないと思います.もし,おかしな方向に向かいそうになった際は,しっかりと止めることもわれわれの責任と思っておりますので,十分な監視もしていきたいと思っております.

【加計学園】民進党・玉木雄一郎 獣医師会からの献金を受けていたことが発覚 - Togetterまとめ
更に獣医師会は玉木議員に100万円の献金を行っています。それ自体、何ら問題があるとは思わないですが、獣医師会が獣医学部の新設をやめるか、これが不可能な場合でもせめて1校にする」ことを陳情し、献金し、それに納得して同じ意見を持った玉木議員が、「しっかりと止めることもわれわれの責任と思っておりますので,十分な監視もしていきたい」との決意を持ったという事ではないですか。一校たりとも新設させないという怨念めいたものが、例の怪文書として現れたんだろうと私は思っています。


もしも戦略特区が出来なければ、一校すらも獣医学部は開設されることがなかったのだろうと思います。京都産業大学加計学園、そのほか産業医の足りない地方、それこそ口蹄疫事件で苦しんだ宮崎からは開設を望む陳情が、多数あったことは間違いないでしょう。玉木の件同様に、それ自体は違法などではあり得ないですね。しかし、全体を通じて違法行為の存在が疑われるほどに強い抵抗を獣医師会が示していた事は既に明らかでしょう。問題化した以上は、責任をもって朝日新聞には次の事を明らかにしてほしい。

  • 獣医学部の新設を阻みたい動きは、文科省や、議員の行動にどのような影響を与えたんでしょうか?
  • 加計学園一校に絞る動きは、誰によって作られたものでしょうか?なぜ京都産業大学などは拒絶されたのでしょうか?
  • 政治家では、誰がこの動きを代弁する存在なのでしょうか?
  • 誰が書類をリーク(?捏造ではなく?)したのでしょうか?
  • この流れの中に、違法行為はなかったのでしょうか?


明らかになるべきは、これだと思います。特区がいつ制定されたなどは実に実に些末な事です。一連の怪文書で潰されかかってる加計学園ですが、それを最も望んでいるのは誰でしょうか?誰が利益を得るのでしょうか?地元の悲願を、不当な理由で潰さぬように、印象操作に踊らされず、確固とした合理的な疑問を持っておいてほしい。そう思う次第です。
[国会ウォッチャー]国家戦略特区制度を作ったのは第二次安倍政権です

誰がどのように、空白地域縛りや平成30年4月開校縛りをいれてきたのか

誰が何故52年にも渡って新設を拒んできたのか、なぜ加計学園一校が残ったのか?を明らかにしていけば、自ずと明らかになるでしょう。獣医師会と文科省は徹底的に洗うべきでしょう。そろそろ、そういったリークもありそうです。