時事随筆

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日本が国際犯罪防止条約に批准する為、共謀罪を必要とする例を考えてみる

このブログは、私のブコメ代わりに過ぎないんだけど、アクセス数の9割は検索流入で、その内容は国際犯罪防止条約への批准の是非が多いようです。


vergil.hateblo.jp
www.nikkan-gendai.com


つまり、この様な内容のないブログで、印象を操作し不安を煽るような記事では疑問は解消されないし、国民の中に理解が浸透しない限りは議論にもならないでしょう。という訳で、密告だー冤罪だー、などと言い出す前に、共謀罪がなかった場合にどうなるのか?を考えてみましょう。



共謀罪がなければ、日本はテロリストのオアシスになるかもしれませんよ?いや現在はそうなってしまってるんでしょうね。

国際指名手配犯の逮捕

現在のテロリストは、国際的な組織になっています。従って、他国で犯罪を計画し、第三国で武器を入手し、ターゲットとなる国で犯罪を犯したりする訳です。現在の欧州で起こっているテロなんかは、実行までのルートの複雑さから言っても国際犯罪の典型でしょう。仮にですが、我が国へ逃亡してきたテロリストを、テロ被害の当該国の要求にしたがって引き渡しが可能か?その逆は?答えは、現在は二か国のみで可能なようです。

犯罪人引渡し条約 - Wikipedia

現在、犯罪人引渡し条約を締結しているのは、アメリカと韓国のみです。それ以外の国からは相互に犯罪者を引き渡すことは難しいというのです。ならば、テロリストは日本へと逃げ込めば、圧倒的に逃亡に要する時間が稼げます。

引き渡しスキームがあれば、テロに対して問題ないか?

犯罪人引渡し条約の締結国を現在の二か国から、96か国とか大幅に増やせばいいのでしょうか?私には、それでいいとは思えません。時間が掛かりすぎますし、数十人、数百人を殺した後では遅いのが現在の国際犯罪だと思うからです。

相手国から国外逃亡犯の引き渡しを求める請求があると、外務省から東京高等検察庁を経て、東京高等裁判所で審理される。犯人が日本国籍の場合や政治犯の場合など例外を除き、原則引き渡すこととされている。

とありますが、逃亡犯罪人引渡法 - Wikipediaによると

六号は他の罪を犯しているが、逃亡犯罪人として引渡すについては、まだ日本では事件になつていない場合は、日本の刑事裁判手続の終るまでは引き渡さない。

ともある訳です。

これを連結すると、まず実行犯が逃亡中である事、なおかつ、日本国内で犯した罪での拘束がされている事を前提に、当該国からの要求を受けて審理して・・・・これではテロリストにとっては網などない事と同義でしょう。日本へ逃げ込めば、なんとでもなります。


日本でフランスでのテロを画策し、フランスで実行する犯人を察知したとしましょう。政府がフランスに情報供与を行ったとしても、日本では逮捕は出来ません。日本が彼らに対して無力であれば、フランス政府は何をもって日本に協力をしてくれるというのでしょうか?

共謀罪が、どうしても必要である理由はこれでしょう

見てきたように、犯罪人引渡し条約は締結国の少なさと言い国際犯罪に対してはあまりに無力です。

国際犯罪防止条約に批准すると状況は一変します。Wikiから引用します。
国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約 - Wikipedia

この条約の対象となる犯罪並びに第五条、第六条、第八条及び第二十三条に規定する犯罪並びに重大な犯罪であって、組織的な犯罪集団が関与し、かつ、引渡しの請求の対象となる者が請求を受けた締約国の領域内に所在するものについてこの条を適用する。ただし、請求に係る犯罪が請求を行った締約国及び請求を受けた締約国の双方の国内法に基づいて刑を科することができるものであることを条件とする。

つまり、こうです。フランス、日本の両国に共謀罪があり、両国が国際犯罪防止条約に加入していれば、フランスで新宿駅での大規模毒ガステロを企て、イギリスで資金を用意し、インドで毒ガスを生成している組織があっても、フランスなどで逮捕し日本への引き渡しを要求する事が出来るし、その逆も可能です。これが出来ないのであれば、テロリストにとっては日本は「安全に」謀議し、資金を用意し、十分な余裕をもって他国で無数の人間を殺す準備が出来る国になるという事でしょう。

現在、フランス国内において、新宿駅サリンによる大規模テロを実行しようとオウムの残党が考えてたとしても、日本には共謀罪はないので実行されるまでは何らできませんね。相互に利益を共有してない場合に、フランスも何かをしてくれるか怪しいものです。また、日本での資金洗浄も禁止することが出来ます。これが出来れば、日本で稼いだ資金で日本へ落とす核ミサイルの開発をするなどという凄まじい行為を防ぐこともできます。


私は法学徒ではなく、理系の学問の世界の末端にいる人間ですので、法律的に上記の問題をクリアする現行法の法改正が可能なのか?は知りませんが、条約の条文と昨今の情勢を組み合わせて考えてみるだけでも、これだけの事が考えられます。


弁護士会などは、共謀罪がなくとも犯人引き渡しを含む条約に締結が可能だと言っていますが・・・、それには納得できない事があります。
toulezure.hatenablog.jp


野党や弁護士会は少なくとも反対の立場であるならば、日本がテロ集団にとってのオアシスにならないためにどうするのか?現在はオアシス同然の緩さである事を、いかに解消する気でいるのか?東京オリンピックを控えている日本国民に、専門家として理知的に説明すべきでしょう。「カレーを作ったら逮捕なのか?」なんて低レベルの話はしてほしくないんですけどね。

www.sankei.com

国際犯罪防止条約への批准は必要だと思いますし、これに反対する人などテロリスト以外にはいないでしょう。その為に必要な共謀罪ですが、議論の余地があるというならば、日本国民の安全という観点に立って上で議論を進めて欲しい所です。それが可能ならば。


こうして考えてみると、共謀罪は我々日本国民の平和な日常生活だけでなく、世界中の人々の平和な日常生活にとっても必要な法案ですね。「やましいことはしてない」人の安全で自由な生活を守るためにこそ必要な法案だと思います。