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時事随筆

TwitterやFaceBookでは書けないニュースの感想を垂れ流します

大学生協ではハラール対応はどうしてるのか?

給食でのハラール対応が求められているけれど、現実的に考えると、無理があるのではないかと思います。
togetter.com
justsize.hatenablog.com


コスト面、公正さで、給食に求められている役割を果たせなくなる可能性がでると思うので、各自の弁当持ち込みで対応してくださいというのが現実的なソリューションと言っていいでしょう。仮に給食でハラル対応を行うとどうなるのか?給食同様に学生相手に食事を提供する大学の生協食堂部を例に見てみましょう。

そもそもハラルとは

http://news.bussan-oita.jp/wp-content/uploads/2014/01/%E3%83%8F%E3%83%A9%E3%83%AB%E9%96%A2%E9%80%A3%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BB%E6%8A%9C%E7%B2%8B%E7%89%88.pdf

getnews.jp

ハラル認証を得る為に「厳密なハラル対応」から「ムスリムフレンドリー」までグラデーションがありますね。
厳密にやると求められる事は次のようなものになる様です。

  1. 豚肉・豚由来製品なし
  2. 調理にアルコール系(日本酒、料理酒、みりん等)不使用
  3. 肉料理がある場合は、ハラール肉を使用
  4. ゼリーのゼラチン(ゼラチンは豚から作られる)
  5. ラードなど豚由来の脂
  6. 豚料理を調理した鉄板やフライパン、包丁、まな板などを使いまわす
  7. 醤油など製造過程でアルコールが自然発生するもの
  8. アルコール洗浄液での食器、食材、調理器具の洗浄

更に、費用面では凄くて、1店舗でハラル対応をしようと思った場合には、

ハラル認証取得までの総費用 〔出所:ハラールビジネス推進協議会〕
設備、装置、道具、ムスリム採用、体制構築、認証
手続きを含めて、200 万円~数百万円

という額に上るんですね。


とはいえ、ここまでの事を求めているわけではなく、著名な日本人教徒の中田考によると(「ハラール認証」に頼らない「ムスリムフレンドリー」なビジネスのあり方 | 小さな組織の未来学

ハラールであるかどうかは書かず、ただアラビア語やアルファベットで原材料を記載し、肉を含む場合はその産地を明記することをお勧めします。「ムスリムフレンドリー」と付け加えてもいいかもしれません。原材料と原産地を表示することは現在の世界的な潮流でもあるので、余計な負担はほとんど無いはずです。

ぐらいの事が出来ていれば問題ないそうです。つまり、給食で対応可能であるとすれば、ハラル認証を得る事でなくムスリムレンドリー対応が限界という事になりそうです。

大学でのムスリムレンドリー対応

認識したのはいつの事か・・・覚えてないですが、ある時から学食に、やたらと高いタンドリーチキンが出る様になりました。他の料理が200円としない中で、370円と破格の高さです。更に、これにハラルマークがついているのを見たのが最初でしたか。現状ではかなり対応が進んでいて、毎日何品もハラル対応料理があります。

その対応の内容もかなり踏み込んだものになっています。

global.innovations-i.com

「発酵調味料である味噌や醤油は使わない」(今はハラル対応の味噌醤油が出来ています)、「ハラル専用の鍋や鉄板を使う」、「トングも専用のものを使う」など基準を決めていきました。

これだけ対応していれば、踏み込んだハラル対応をしていると言ってもいいでしょう。しかしながら、これはハラル認証を得た対応ではなく

また「ハラル肉は通常の豚肉と同じ冷蔵庫で管理せざるを得ない」、「食器は通常の料理のものと共用」、「殺菌のためにアルコールスプレーを使う」など積極的に情報開示し、「ムスリムの留学生にこの条件で食べられるか、食べられないかの判断を委ねた」

と妥協を求めている部分もあり、厳密な意味でのハラル対応ではありません。大学生協でハラルジャパンの認証を得ている訳ではなく、留学生との間で協力して出来た独自基準の認証ということになります。つまり、中田考の言うムスリムレンドリー対応ですね。

調理では一台で焼く、蒸す、煮る、炊く、炒めるが可能な多機能加熱器「スチームコンベクション」、料理を急速冷凍する機械「ブラストチラー」、冷凍した料理を真空パックする「真空包装機」の3点セットをハラル専用として新たに導入しました。

ここまでの事をしているのですから、タンドリーチキン一皿が370円もするのも納得というか、むしろ良心的に過ぎる値段ではないかと思うんですが。


それほど利用者がいないので、ハラル対応料理は常に準備されていませんが、なかったとしても注文すれば作ってくれるそうです。特にハラル食を要求しない学生にとっては高すぎるので、まず頼むようなものではありません。生協は投資に見合った利益なんか取れてないでしょう。

給食で、生協と同様の対応は必要なのか?

「柔軟な対応を」という最善の形は、大学生協によるムスリムレンドリーな対応でしょう。しかし、これをやると大学生協ですら、一品の値段は跳ね上がります。
大学生協では、大学が留学生を積極的に受け入れているという現状がある訳で、ムスリムレンドリー対応を学生も求めて当然という背景はあるでしょう。優秀な留学生は、いわば招かれた賓客です。彼らの求めに応じて、優秀な頭脳を招き入れたい大学の思惑を考えたら要求は当然です。


給食で生協同様の対応をしようと思えば

  1. 新たに専用の調理器具が必要
  2. それを運用するための施設が必要
  3. ハラル認証されたハラル肉の入荷が必要
  4. 専用の調味料が必要

となり、結局はハラル対応料理専用の調理センターが必要になる事でしょう。この費用が、どこに帰ってくるのか?と言えば給食費になります。
給食は経済的に貧しい家庭の子供の貴重な栄養源になっている事は、貧困ビジネス界隈の人が良く口にする事です。生協の様なムスリムレンドリー対応をして、給食費が倍になるような事はあるべきではないでしょう。現状ですら未払いが問題になっているのに、仮に千円でも増額されたらどうなるか?火を見るよりも明らかです。地域にとって例外的な宗教対応をすることで、貧しい家庭の子供が給食を食べられなくなるとしたら、公正もくそもありません。

給食で出来る事は、使っている食材を開示して自身で忌避する料理を事前に申告してもらう、給食費を免除して個人で弁当を持参してもらう。そんな程度ではないでしょうか?今やってることとなんら変わりがないですが、共生とは、日本人のみが限りなく妥協すればいいという事ではないでしょう。