時事随筆

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どこまでなら救えるのか決断するのも政治でしょ?

www.huffingtonpost.jp
元フジアナウンサー長谷川豊氏「言動が全部稚拙」「めちゃくちゃだった」と反省、謝罪…出馬会見一問一答 (産経新聞) - Yahoo!ニュース

本当にアナウンサーだったのか?とか、「自業自得」って言葉をチョイスするセンスで立候補するのか?とか、選挙を戦うには能力不足なのでは?と言いたくなる記事なんですけど、長谷川氏の言いたい所の根本にある「医療改革をしないと、誰も救えなくなるよ?」という懸念には強く同意します。


toulezure.hatenablog.jp
医療費は年々膨張し続けていて、2025年には50兆円を超えると言われています。少子高齢化が進み歳入が減る事が予想される趨勢ですし、何ら手を打つことなく、今と変わらない制度を維持する事は難しいのは誰にでも分かる事です。


何かを変えなくてはなりません。
その何かは、歳入を増やすための増税であったり、医療制度の改正だったりするのでしょう。そして、その改正案の一つが自己負担額の一律増額になる可能性はあるでしょうし、患者の増加を抑制する政策も求められもするでしょう。それは予想できる未来です。


例えとして、今や長谷川氏の代名詞になった人工透析患者を用います。
現在33万人程度の人工透析患者が、生活習慣の悪化によって50万人に増えたら歳出は2兆5千億に達してしまいます。患者が増えないよう、糖尿病患者に対する適切な生活改善の指示を求める事は自然な事です。自己負担額を増額すれば、医師の指示を、自分の事として切実に感じてもらえるでしょう。人工透析患者が年間100万円を負担すれば、現在ですら三千億円の歳出を一気に削減できるし、患者の増加を押しとどめる効果も見込めます。


しかし、労働時間に制約を受けている人工透析患者に対して100万円もの負担を求めるのは現実的ではないですから、医療制度が破たんしない限りは、こんな事にはならないでしょうけど。



医療費の削減には様々な政策が関わります。
統計に基づいて、煙草を増税する事で、喫煙者を減らしがん患者の増加を抑制する事で、医療費の増加を抑える事も政治です。
インドのように肥満税を導入する事で、肥満を減らし医療費を抑える事も政治です。
医療改革で不要な薬剤を処方しないようにするなど、歳出を削減することも政治です。


削減するばかりでなく、限られた財源を効果的に使う事もまた政治です。
財源を増やす工夫と同時に、限られた財源をより多数の国民の為に使う事を求められている以上は、どこかで「どこまでなら救えるのか決断する」必要が出てくる。


時には誰かが痛みを伴う決断になるかもしれなくとも、それでも、100年後の事を考え、より多数の為に決断するのが政治家の仕事だろうと私は思います。


「『自業自得』の線引きをするのが政治だ」
この言葉には全面的には同意しませんけど、それほど間違った事は言ってないと思いますね。歳入を無限に増やせるならば、全ての人に求める限りの保護が与えられるでしょうが、産油国ですらなく1億人を超える国民の居る大国・日本には『線引き』が必要でしょ。感情で反発してる人は、もうちょっと大人になった方が良いですよ。